低糖質ダイエットの落とし穴って!? キレイに痩せるためのヒント

この記事は当院院長執筆記事2018年12月6日VoCE公式サイト掲載記事「低糖質ダイエットの落とし穴って!? キレイに痩せるためのヒント​​​​​​​」より転載したものを元に加筆・修正したものです。

低糖質ダイエット、ケトジェニックダイエットなどが一般化し、「炭水化物は美容の敵」と考えている人も多いのではないでしょうか。しかし、単純に炭水化物の“量”のみに注目し減らすのは危険。低糖質ダイエットは、間違った知識や誤解によってかえって美を残ってしまう危険性も。詳しく、解説します。

「炭水化物で太る」のメカニズム

 

そもそも、なぜ低糖質ダイエットが流行しているのでしょうか? その謎を紐解くには、“インスリン”の働きを知る必要があります。

まず、食事をすると、食べ物に含まれる糖質がブドウ糖として血液中に取り込まれ、血糖値が上昇。その血糖を下げるために、すい臓からインスリンが分泌されます。血糖値は食べた糖分の量に依存するため、血糖値が高すぎるとインスリンが過剰に分泌され、余った糖分が脂肪として蓄積されてしまうのです。

この一面だけを見ると「糖分がダメ!」「インスリンがダメ!」と思われるかもしれません。しかし、これだけを鵜呑みにしていると危険なのです。実際、糖分はカラダを動かすための“ガソリン”としての役割を果たしますし、インスリンはカラダを作るためのホルモンで、食べた栄養を全身に送り届け、細胞修復や筋肉を作るための原動力となります。本来、人間が生きていくために必要な栄養素を制限する低糖質ダイエットは、余分なエネルギーを抑えることに関しては有益ですが、以下の副作用があるため注意が必要です。

低糖質ダイエットの“副作用”

腸内細菌が乱れ美容、基礎代謝に悪影響が出る

炭水化物を控えると、必然的に炭水化物の代わりにお肉などのタンパク質をたくさん食べるようになります。動物性タンパク質はカラダを作る材料になる一方で、摂取量が多くなると消化に時間がかかり胃腸の負担となります。また、動物性タンパク質は、腸内細菌の悪玉菌のエサになりやすく、腸内環境が悪化しがちに。腸内環境が悪くなると、美容、基礎代謝に悪影響が出ます。

動物性脂質や塩分の摂りすぎで、結果的に不健康な食生活に

動物性タンパク質とセットで摂取してしまうのが動物性の“脂肪”です。動物性脂質には“飽和脂肪酸”が多く含まれます。これを取りすぎるとアレルギー、皮膚炎などの肌荒れ、脱毛、生活習慣病、免疫低下、生理不順が起きてしまいます。また、塩分の摂取量が増えるだけでなく、食物繊維の不足、炭水化物を多く含む食品に含まれるビタミンやミネラルが不足しやすくなります。

 

疲れやだるさを引き起こす

糖質制限によって「ケトン体」の産生が増加します。ケトン体とは、脂肪を分解して肝臓で作られるもので、糖質の代わりに筋肉や心臓などでエネルギー源になります。一見、脂肪が消費されダイエットに最適なように見えますが、ケトン体が体内に蓄積すると体液が酸性に傾いてしまいます。すると、頭痛、倦怠感、脱水症状などが現れます。「何となく疲れがとれない」と感じているのは、カラダが酸性に傾いていることが原因かもしれません。

筋肉が減る

低糖質ダイエットでは、カラダのエネルギー源確保のために、脂肪だけでなく、筋肉も分解されてしまいます。実際、ケトジェニック・ダイエットをしていると、体内のタンパク質(つまり筋肉)から400〜600 kcal/日のエネルギーを作り出していることがわかっています。これは1日あたり100gずつ筋肉がなくなっていることを意味します。

このような副作用を避けたい気持ちと「早く痩せたい!」と焦る気持ちとの葛藤があるはず。しかし、健康を無視した美の追求は長持ちしません。まずは健康的なカラダを作る炭水化物の“量”を守り、食べるものの“質”を改善しましょう。

 

炭水化物は“50%”を目安に

公衆衛生の専門誌「Lancet Public Health」に今年8月、衝撃の研究結果が発表されました。アメリカ人約1万5000人の消費した食べ物と飲み物の摂取カロリーにおける炭水化物、脂肪、タンパク質の割合を25年間観察したところ、摂取エネルギーのうち50%から55%を炭水化物から得ている人は、低炭水化物や高炭水化物の食事をとったグループよりも、死亡リスクが低いことが報告されました。極端な糖質制限は、全死亡率、心筋梗塞などのリスク上昇につながるということは広く知られており、日本糖尿病学会も「現時点では糖尿病患者に糖質制限食は勧められない」という立場を示しています。

脂質の種類を意識して

 

動物性脂質を多く含むお肉、ソーセージやベーコンなどの生成肉の摂りすぎは注意が必要です。代わりに、良質な植物性脂質であるオリーブオイル、アボガドオイル、ココナッツオイルなどを積極的に取ることをおすすめします。

動物性脂質と植物性脂質のベストな割合は1:1 。動物性脂質はお肉の中でも、鶏の皮、豚・牛のバラなど脂の多い部位に多く含まれます。そのため、お肉を食べる際はヒレやモモなど赤身の部位を選ぶようにしたり、鶏肉の皮を取り除くようにしましょう。植物性脂質がなかなか摂れない場合はサプリで補うのも一手。

また、加工食品には注意が必要です。例えば、ファストフードのポテト。揚げたてでもベタ付かず、時間が経ってもくたっと柔らかくなりません。これは常温で固形化する飽和脂肪酸をたくさん含む油が使われているからなのです。

以上、低糖質ダイエットに関する間違いと注意点をご紹介しました。炭水化物の“量だけ”にこだわるのは簡単ですが、思わぬ落とし穴が存在するので注意が必要です。炭水化物の量は「少なめ(50%目安)」とだけ意識し、“質”にとことんこだわることで、長続きする健康・美容が実現できますよ。

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